Vol.13  「デビュー1年目で大暴れ」

 「また小崎綾也騎手!」

 実況アナウンサーの声が一段と高くなリました。2014年3月デビュー、キャリア8ヵ月半の新人、小崎綾也(こざき・りょうや)騎手が11月16日の福島9Rで34勝目を挙げた瞬間です。

 当ブログのVol.8「見習騎手」で取り上げた19歳の新鋭。もうひとり注目した松若風馬(まつわか・ふうま)騎手と合計すると72勝(11月16日終了時点)。松若騎手はすでに30勝を超えていて2㎏減の△に昇格、一時の勢いこそなくなったものの、まだ小崎騎手より勝利数は上です。

 11月15、16日の土日2日間で、小崎騎手は6勝の固め打ち。15日は減量恩典のない特別戦で1、2着でした。もともと新人離れした手綱さばきが光っていましたが、実戦に慣れて、いよいよ軌道に乗った印象です。11月22日から△騎手になっても、活躍は続くでしょう。

 JRAのルーキーがデビュー年に30勝以上は、2006年の高倉稜騎手(37勝)以来。同時に2人となると、池添謙一騎手(38勝)と太宰啓介騎手(34勝)が1998年ですから、16年ぶりになります。

 新人騎手の合計勝ち星は年によって大きく違っていて、武豊騎手(69勝)がデビューした1987年は、他に塩村克己元騎手(現調教助手、33勝)、蛯名正義騎手(30勝)がいて、30勝以上が3人いました。武豊騎手は、レベルの高い同期生(競馬学校3期生)と修行していたことを示しています。一方、誰も15勝まで届かなかったり、新人全員の平均が5勝台という年もあります。

 新人騎手が2人、デビュー年で40勝以上は……競馬学校創設以来、例がありません。しかし、ハイレベルのトップ争いとなった今年の松若&小崎はひと味違います。小崎騎手は11月22~24日の京都競馬でも2勝を挙げました。最終日の12月28日まで、まだ1ヵ月以上を残しています(土日開催ですから、実質10日間)。史上初の快挙達成が見られるかどうか、競馬関係者は皆注目しています。


田所 直喜(たどころ・なおき)

1964年(昭和39年)6月10日生まれ。東京都国分寺市出身、妻と2人暮らしで今も在住。

海城学園は高校の3年間で、1983年(昭和58年)卒業。1年の担任は長島先生。2~3年は文Bコースで河原先生。

東京学芸大学教育学部国語科を卒業と同時に、1989年(平成元年)、(株)日刊競馬新聞社入社。以来、中央競馬担当の編集記者として活動。

現在、編集部中央課課長、採用担当責任者。